「人生は呼吸のように」前編
- まやはるこ

- Aug 5, 2021
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神戸西元町にある「ボイスアート隠れ家セッションルーム」を始めたのは、2008年の春。
古い長屋ビルの5階の一室を見て、女性限定の隠れ家ルームを作ろうと決めました。
最初に、部屋の壁をオフホワイトのペンキに。
床に座れるように、落ち着いた色のタイルカーペットを敷きました。
次に、大人の背丈ほどあるパキラの木を入れると、通り抜ける風で歌うように、部屋で葉がそよぎ始めました。
そして、若い頃バックパッカー旅で訪れたペルーで手に入れた宝箱(木箱に皮が貼ってある)を、部屋の片隅に置きました。
この部屋を訪れる女性たちの物語を紡ぎ、何より安心する未来へつながってほしい。
そのサポートをこの部屋でできればと願いました。
夏がやってきた頃、ラジオ局から出演依頼がありました。
ボイスアート隠れ家ルームの紹介をしてもらえ、終了後、携帯に着信履歴が。
返信すると、ラジオのリスナーさんの受講依頼でした。
「あのー、ラジオでお声を聴いて、お電話しました。ボイスアートを受けてみたいのですが
お願いできますか?」透き通る声をした女性でした。
「はい、喜んで。ボイスアートのどのあたりに興味を持って下さったのでしょうか」
「直感です。実は、息するのも苦しくてたまらないのです。夜も眠れません。ラジオで聴いた呼吸法なら自分に合いそうな気がしまして。お電話をしました。」
翌日、その女性は隠れ家ルーム初めての受講者さんとなりました。
息(呼吸)は正直です。その方の今の状態がそのまま出てきます。
このような時は、まずは、安心する必要があると考え、おじぎ呼吸法を最初に行ってもらうことにしました。
息を吐く、そして吸うを、様子をみながら繰り返していただきました。
血行がよくなるせいか、リラックスするホルモン、セロトニンが上昇してきます。
安心されたのでしょうか。初めての受講者さんは、眠ってしまいました。
(幸運にも後の受講者さんがおらず)目が覚めるまで、そっとしていました。
一時間ほど経った頃、大きな欠伸をされて目覚められました。
ボイスアート「隠れ家ルーム」は、このようにゆるゆると始まりました。




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